atelier shot 2012. 11. 11

  
 この秋竣工した地元江南区文化会館(新居千秋氏設計)内の郷土資料館古民家展示ブース製作をお手伝いさせていただいた。3坪程度の小さい小屋だが、釘金物を使わない在来工法と地元特有の葦(よし)小舞下地の土壁を表した、この地方特有の空間。小舞は全国的には竹で掻くが、私達新潟市近郊は葦で掻く。地図にない湖と言われ永きに渡り水との戦いを強いられてきた亀田郷、当然周りに葦は溢れ建築素材として使うことはあたりまえだった。この小屋が展示され見学に来た地元の年配者が「うちもこの小舞下地で、俺も手伝ったもんだ」など話してくれ、遠くない過去にあたりまえにあったことがうかがえる。約50年前に建った私の自宅もあたりまえに小舞掻きで、20年ほど前まではまだまだあたりまえに近所で施工されていた。姿を見なくなったのはバブルの頃からか。工期のかかる土壁下地が敬遠された事や壁塗りを中心とした和風空間が減った事が原因だろう。今回資料館展示ブース施工をお願いした地元の左官職人もここ数年小舞掻きの現場が無かったとの事。土蔵も手がける職人さんだが、土蔵の仕事は数年前に修繕仕事が有ったくらいだそうだ。
 
 
 木軸を施工した工務店は普段から手加工での仕事にこだわる。けっして神社仏閣を常の仕事としているわけではなく一般住宅を手で刻む。プレカットがあたりまえの現在にとっては希少な工務店だ。まだまだ周りにはこの様な職人がいる。全ての仕事にこういった伝統的な工法を取り入れることは難しいとは思っているが、無意識に経済性優先や非地域性で事を進めていると自らのアイデンティティーすら失う事になりかねない。未来に向けて地域の個性、日本の個性を伝承していく必要が有ると感じている。しかしそれは和風空間を作る事のみで解決するとは思わない。無国籍的な物、他国籍的な物の中にも私達地域の個性や日本らしさというものが有り得る。そんな独自の解釈で昇華した物から次世代に向けアイデンティティーが継承できればといつも考えている。
 
 
 上の写真は安田瓦の鬼瓦師にオーダーして冠の上に鬼を載せ焼いてもらった物。今までシーサーを平瓦に載せてもらったり今も新たに茜瓦に載せるお願いをしている。とても硬質で雪国新潟にとって優秀な素材なのに安田瓦も地元産で有りながら使用が減ってきている。ちょっと目を向けてもらう為に趣向を凝らしそんな事もやってみる。産地付近ならではの成せる技。そんなこんなやっている今日この頃。
 ちなみに江南区文化会館、造形的にもとっても良い空間です。是非お近くお通りの際はこの会館に寄り、そして郷土資料館でこの地域の個性をお感じください。
 しかしさすがに半年更新無しは反省してます・・・・。Facebookには時折書き込んでいるんですけれどね〜。(またまた言い訳まがいな いと)
 
 
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