atelier shot 2012. 3. 11

  
 東北地方に未曾有の被害をもたらした3.11東日本大震災から1年が経つ。未だ行方不明の人、身元がわからない遺体、収束しない原発事故。新潟はそれに加えて5年ぶりの大雪で経済活動にも支障をきたしている。飲食店などは大打撃らしい。私達の周りも決して良好な環境だとは言い難い。被災された方々の事は忘れてはいけないが、私達までが下を向いていては世の中巧く行くのも行かなくなる。厳しい時だからこそ元気を出して前を向くしかない、やるっきゃないのだ、と自ら鼓舞する今日この頃。

 昨年も決して多くの物件を完成させたとは言い難いが、それでもいくつか仕事を完成させることができた。
S-houseは古材を使い伸びやかな空間を作った。外部空間は奥様お気に入りの手を掛けて楽しめる庭をはじめ、借景の公園が室内に心地よさを呼び込む。古材はともすると命を全うするかの如く置かれていた物だったがもう一度息吹を与え、家の象徴とした。
Ya-houseは限られた敷地にプライバシーを保ちながら光と風を取り込む。昔ながらの手法、坪庭的中庭デッキを囲んで部屋を配置。天井は作らず2階の床下地表しはある意味昔の民家的構造と言える。
リフォームのF-houseは久々に和風数寄屋的仕事をさせていただいた。光天井や網代など我がアトリエが手塩に掛けて仕上げた素材も愛着がある。フローリングに障子が好き。やっぱ和は良い。
Mu-houseは居間から声を掛ければ全ての部屋に声が伝わる、居間吹き抜けを中心に縦横つながる空間。構造体である柱梁2階床下地を表した真壁作りで、無垢の木たちと塗り壁により使い続けて味が出る。
全てテイストは長い時間かけて熟す空間がもっとうのいとう流。(PROJECT更新してますんでご覧あれ)やはり住宅は使って行く事で体の心の一部になれる物であって欲しいといつも思っている。津波で家を流された人々、原発事故で家に帰れない人々。そんな人たちにも家は心の一部だったに違いない、一日も早く安らかな心を取り戻して欲しいと願っている。しかし最近の量販的住宅は心の体の一部になり得るのだろうか?心というより衣類化しているのではないかと心配しているがそれも時代なのか。(今年お初のTOP更新にちょぴり反省している いと)
 
 
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