atelier shot 2009.1.14

  

 あけましておめでとうございます。というには早くも1月中旬に突入してるけど・・・。
昨年は、所属している「新潟まち遺産の会」、庭園の勉強会「田中泰阿弥研究会」のかかわりのなかから、存続の危機にある旧豪商の邸宅庭園の保存運動の事務局で奔走していた。写真はその道路に面している外観。なんとか保存を願う市民の会から市議会にあげていた、この邸宅庭園を市に購入を願う請願が12月議会で採択され、保存の道が開けてホッとしているところ。どこの都市も財政難の今日、文化的保存案件に税金を投入して購入する事を議会が承諾するという事は快挙と言える。逆に言うなら日本の政治、新潟の政治の今までがあまりにも目先の経済にだけ目を向けていたからだともいえる。新潟は、かつてあった堀が今でも縦横無尽に通っており、石張りの旧県庁舎やレンガ造の路面電車停留所が残っていたらどんなに魅力的な街になっていただろう。新潟を訪問していたフランス人の使節団はこの邸宅庭園を見て感動しつつも、新潟においてこれが保存されるかどうかという運動の対象物だという事に驚嘆していたとの事。議論するまでも無く運動するまでも無く保存するのがあたりまえとの考え方が欧州人の一般的な考え方。市民運動の末、議会も動き保存になった事は、価値有る物が残ると同時に新潟人の気概が伝えられたようにも思える。
 

 もう一枚の写真は今かかっている現場写真。築80年は建っていると思われるこの建物を、施主の御家族は解体するのではなく残して活かす道を選択された。今のライフスタイルに合わせるため座敷一部屋と土間のみかつてのまま保存し、他は古い部分を残しながらも全面的にリフォームする事に。築80年の重みを感じる外観はそのまま活かし街に歴史を語り続ける。欧州の古い街は、外観は歴史的ながらも内部は今の生活にあわせ改造しているのがあたりまえ。この物件も、古民家再生というよりは外観を残したリフォームといえる。住みづらい物に無理して住む事はないかもしれないが、お金を掛けて壊してお金を掛けて捨てて、味気ないものにするなら古いものを活用したほうがはるかに経済的で豊かだと思っている。そんな建物が多くなり歴史が感じられる街になる事が、戦後の日本、新潟が本当に豊かになったといえる事なのだろうなあとつくづく感じている平成己丑正月であった。(新年から長くなってすみません。今年は短くマメにが目標・・・のいと)
 
 
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