atelier shot 2004.1.9

  
 松飾り、門松を今年は飾ってみた。本来は雌雄あって玄関先の左右に二個置くのが正式らしいが、玄関先でなくウィンドに置くのだし、ましてや万年青も一緒に飾っているのでその二つで雌雄って事で。門松は本来は松に限らず常緑樹であったようで、万年青なんかはまさしく文字通り常緑、毛色違いの雌雄でバッチリOK。年神様も面白がって喜んでくれる事を期待したりして。
 あっという間の2003年、アトリエも移転したりアルビJ1昇格になったりといろんな事があった一年だったけど、兄姉のいない私にとって姉のような存在でもあったお茶の師匠が、師走に亡くなったことがとても大きな出来事だった。病気のことはもちろん知っていたが、良いことしか考えていなかったっていうか(ほんとうは悪いことの方を考えたくなかったからかも)、彼女自身がとても病に冒されているなんて感じさせなかったていうか、普段と変わらぬよう接していた。忙しさにかまけてお稽古を休んだり…疲れていることも知らずイベントのお手伝いを頼んだり…。今となっては後悔してもしょうがないことだとわかっていても、たらればが頭をよぎる…。お茶の作法だけにとどまらず、彼女の考え生き方から間違いなく得たものは多かった…。合掌。
 普段と変わらぬ、といえば以前視力を無くしたご婦人のお宅を設計した時のこと、ご婦人からの要求が「普通の家に設計して欲しい」だった。明らかに障害者の住まいと思える家はいやだったんだと思う。もちろん一般的なバリアフリーは常識的という前提はあったと思うけど。でも生活は1階2階と2層に渡っていて階段の上り下りが日課になっている決してバリアフリーじゃないんですけどね。でも苦にしているどころか当たり前に受け入れているのです。ただ一点要求されたことは、階段の登り切り降りきる前にそれを感じられるノンスリップを付けること。最近では使いながら改良していて、よくぶつけるところにはクッションを取り付けたりしてますね。彼女の生き方からも学ぶべきところが多いです。
 周りに病を患っている人が増えたと感じることは自分が年をとったからかな、「がん患者学(柳原和子著)」などという本も自然と手に取り読んでしまう。そんな本を読むと今では「癌」は不治の病ではなく共存していける病のよう。住宅のバリアフリー的発想はもうあたりまえかもしれない、しかしもうそういった機能を一番に考える時代では無いような気がする。病と共存して生活している人、支える人のメンタルな面を意識する事が大切。決してバリアフリーじゃない飛び石石段のある日本庭園、空を眺めながら入れる露天風呂、花火を見るための屋根の上の桟敷・・・。機能や効率、費用だけ考えると選択しづらい事が以外と大切だったりして。
 2004年、まだまだ精進勉強しながらいい仕事そしてアルビで美酒を堪能したいですね。ま〜体に関しては・・・謙虚に謙虚に…。(いと)
 
 
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