第六回　新潟は単身赴任者も帰りたくなくなるほど食が豊なのです。

＜食を理由に新潟へ＞

「若い頃、多様で個性的な仕事を求めるなら東京へ出て行った方が良いとよく言われた。いわゆるサクセスストーリーは都会で完結し、地方都市ではかなわないと思われていた時代。だが私は知人友人を介しての建築の仕事がほとんどで、都会へと仕事を求める事無く過ごしていた。そんな時代に東京などから赴任して来た人と知り合うのだが、帰任時によく聞かされる話がある。

　「赴任が決まった当初は正直早く戻りたいとの思いでいっぱいだった。でも着てみたらお酒はもちろん、お米や魚など地物の食や、枝豆、ナス漬けなど旬物のうまさに胃袋をつかまれた。その上新潟人は人が良い。帰任が決まると逆に後ろ髪を引かれるのだ」と。そんな話を聞けば地元を誇らしく思い、ますます地元愛が深まる。

　新型コロナウイルスの影響でリモートワークが当たり前となり、どんな場所でも仕事ができる時代となった。おいしいものが食べられるという理由で、仕事場を決める食いしん坊がこれからどんどん増えるに違いない」