atelier shot 2005.9.23

  
 えらくご無沙汰で・・・。あれやこれやとやっていると時間が経つのが早い。とりあえず一つの物件が竣工引渡になり(近くprojectsでも数枚アップしたいと思っている)、そこの物件の屋根に上がっている「安田瓦産のシーサー」。以前も書いた事のある安田の鬼瓦師村秀さんの作品。「安田瓦」は和風にしか使えないと皆思っているようでなかなか和風以外の現場では採用が少ないのだけれど、今回は軒先の瓦も特注し、鬼瓦の代わりにシーサーを載せて洋の外観に安田瓦で挑んでみた。想像していたとおり洋と和のミックスした味のある雰囲気で自分的には大満足。これからどんどん地元の瓦「安田瓦」を若い人好みの外観にも取り入れていきたいと思う。
 安田瓦は衰退の傾向にあるといわれている。産地の方針として頑なに採用を和風建築にこだわっていては採用頻度も落ちるというもの。たしかに焼成温度が高く良質な瓦材なのだが部材が和風テイストばかり。これではプランに制限がある。使用頻度が落ちるから和風以外での特殊な部材はすでに廃盤となりさらに使えない素材になる・・・悪循環・・・。これって公共交通機関に似ている。
 公共交通機関、とくに都心部以外の公共交通機関は不採算ということで便数が減ったり最終の時間が早かったり、ともすると廃線になったり。便数が少ないと使い勝手が悪くなるから利用が減る、利用が減るからまたサービスが落ちる、さらに使えない交通機関になる、といった悪循環。鶏が先かたまごが先かじゃないけれどどちらかが地道に前向きになっていなければ良い方へ転換しない。公共交通機関はとても大切でこれからのエネルギー事情を考えれば減ってもらっては困るもの。だから私はバスも電車も乗る。できる限りルート内に公共交通機関があったら使うようにしている。やっぱ使わないと良い方へ向かわないから(本当はお酒を飲んで帰るに公共交通機関が充実している街になって欲しいと思っているだけだったりして)。
 同じ理由で「安田瓦」も使っていきたい。地元の歴史ある建築材料を絶やしたくないし。そのためにはそれを使った新しい表現も提案する必要がある。卵なのか鶏なのかわからないが、新しい方向へ動き始めるための地道な活動を続けたい。しかし更新し無さすぎはちょっといけませんわな〜・・・反省。(いと)
 
 
一級建築士事務所 伊藤純一アトリエ TEL 025-228-2536 FAX 025-228-2537
(c)2002 JUNICHI ITO ATELIER All rights reserved.