atelier shot 2006.11.17

  
 いつもお世話になっている御夫妻のお招きで峰村泉のカフェライブへ行ってきた。ニューヨークのハーレムに一年住み数々のライブ経験を持つジャズシンガー。若いせいかまだまだ場を包み込むオーラは弱いが(今までで一番オーラがあったのは浅川マキかな)、これから長い人生を糧にして良いシンガーになって欲しい。なんてったってあの<きかんぼえくぼ>が芯の強さ秘めた可能性を感じさせる。せっかく良い声持っているので、できればラストはノーラインの生歌で聞かせてもらいたかったところ。
 彼女のMCの中に「時にグラスを傾けながら、時に(あくまでも時にだと思うが)ささやきながら、肩の力を抜いて聞いてもらいたい。グラスの音なども含めたすべての音がその場を作る……」ってな事を言っていた。うんうんうなずける。ホールなどかしこまったところで音楽を聴いたりお芝居を見るより、グラスを傾けながらの音楽の方がとても心地よい。ま〜時と場合によることは百も承知だけれど。
 写真は今回のライブステージ。セカンドステージ前のうえノーライティングで手ぶれバリバリだから見苦しいけれど右手に注目してもらいたい。バックに信号機が移っているのがおわかりだろうか。今回カフェレストランでのライブで、尚かつ路面オープンスタイルなお店。ステージとなる場所の後ろがミラー貼りで外の道路が映り込む。つまりステージのバックに通りすぎるバスや点滅する信号が時折移り込むのだ。コンサートホール系のライブなら御法度の状況だが、私にとっては何故かそれが心地よかったりする。映画の名場面など良い映像に良い音楽が組み合わさることで完成なる物もある。私も喧噪の街を背景に、うら若きシンガーとバックバンドのパフォーマンスに心地よくグラスを傾けることができた。彼女そういえばニューヨークのクラブで歌ってたという。その辺の空気を知っているからこそのパフォーマンスなのだろう。
 建築もしかり。箱そのものだけで美しい事も大切なことだとは思うが、人の動きや音、色、物の設置によって初めて空間は完成するのだとも思う。建築は大きな模型を作る事ではない、場の空気を作り上げるための装置だから。クールな空気感を醸し出したいときには洗練されたディティールの集大成である必要があるかもしれない。活力を感じさせる空気を作りたければダイナミックな構成が必要。癒しを求めるなら充分すきを与える。そして無くてはならない人の気配。私のアトリエのプロジェクト写真を村井さんが撮っているのは(人の気配を感じられる写真を撮らせたら天下一品)そういった意味もあるのです。
 しかし超久々トップページ更新はまたも芸能音楽ネタでしたねえ。なんか芸能音楽って感じることでどこかの脳が刺激されるのね。久々にキーボード打ちましたよ。
(決して病気してたわけでも、海外出張してたわけでも、ましてや拉致されてたわけでもない、単に更新さぼりの いと)
 
 
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