atelier shot 2003.11.10

  
 アトリエ2階の天井は取り払ってあり屋根裏が表し、野地板と木端が見えている。天井が無い分のびのびして気持ちのいい空間になっている。ところがこれで色々と頭の痛いことが多いんですよ。風の強い日の翌日は2階のテーブル上すべてに土が降っている。掃除がたいへん。もちろん風の強い日中は上から土がパラパラと…。飲み物のカップは要注意って感じ。そういえば天井を解体したときとてつもない量の埃が落ちてきたが、あれは埃じゃなく土だったんだはね。天気のいい日に上を見上げると、少しの隙間から明かりが…、不思議と雨漏りはしないのだけど。この建物を良く知っている人(実はこの家がおばあちゃんの実家だったというご婦人)が言うには、この建物は明治の後期にはすでに建っていたとのこと。当時の瓦工事にセメントは使わず土でのし瓦を積んでいたんだろう。だから湿気の多い時は吸水し多少の水分は下に落とさなかった。現在のモルタルや断熱材だったらどうなっていたことか。その分乾燥し風が吹くと表面からパラパラポロポロと…。古い建物とつきあっていくにはいろんな恵みを感じながらも覚悟も必要なんですよ。外壁の下地に土壁を塗ってあるといってもこう隙間が多くては断熱性能も無し。これから迎える冬に向け暖房計画はもとより、覚悟が必要ですはね、きっと極寒なんだろうな〜。古い民家町屋が立て替えられる原因の一つに冬の寒さがあるのは間違いない。今のライフスタイルじゃあ炬燵一個、寒かったら寝るなんて訳にはいかないしね。「古い民家町屋は素晴らしい、大事に長く使って」と住んでいる人のご苦労も知らずに訴えるのは無責任だったかな、古いお宅に今もお住まいの方々には冬場のご苦労痛み入ります。私も身にしみて感じます。同じ立場になってしかし、良さをもっと活かせるよう自分なりに工夫しながら、時には我慢しながら受け入れていきます。
 しかし夏は暑く冬は寒いのが当たり前。年中常夏のホテルに居るみたいなのは体にとってどうなんだろう、年をとってからはそれがいいに決まっているが、子供のうちからそれがあたりまえになると、大人になってからの対応についていけなかったりするんじゃないかな、今の子供はエアコンあたりまえだし。ま〜対応が必要じゃない環境にのみいればいいのか、ますます消費エネルギーは減らないなこれじゃ。(いと)
 
 
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