atelier shot 2017.1.15

謹賀新年

昨年の仕事、特に住宅に関しては、自然豊かで歴史ある敷地設定がキーワードにあったように感じ、また新潟県産木材を使い地域材の魅力を発信する「越後杉住宅コンペ2016」において、特別賞を頂き仕事に対して評価を頂いた年でもあった。





受賞した住宅作品を含む二つの新築物件は共に近景、中景、遠景に豊かな自然があり借景や廻りの自然を取り込む計画。 これから本格的に設計を進める物件は、歴史深い町の通りに面しそのまちなみ景観に配慮し、しかし今のライフスタイルに合わせた融合型のプランを提案。気にいっていただきこれから設計を煮詰めていくのが楽しみな物件。 終の棲家的リフォームや歴史的建造物内の共用トイレの改修は、今ある物を活用し歴史的建物の価値を損なわず、使いやすく心地良い新たな空間を作らせていただいた。



3月に竣工したU-atelier&houseは、背後に里山を背負い、遠景に弥彦山を望む緑豊かな敷地に建ち外観は周りの環境を考慮した設計。この建物は二世帯シェアの住空間に加え、それぞれのアトリエとワークスペースといった作業空間、ゲストが宿泊したりイベントが行える多目的なスペースとして使える用途が異なる空間を9カ所のレベルを替えたスキップフロアとして構成





最も低いレベルのフロアは里山側に大きく開き自然を建物内部まで取り込むイメージ。 高いレベルのフロアでは弥彦山の四季折々が堪能できる計画とした。



7月に竣工したKo-houseは「越後杉住宅コンペ2016」において、特別賞を頂いた建物。 コンセプトは地産地消。新潟市圏には地場産の杉材や性能の高い安田瓦の産地が身近にありながら近年の住宅はそれらを意識していない物が多い。この建物はそういった建築的地産地消で現代のライフスタイルに合わせた住宅を造り、地域の価値や魅力を持った民家を継承できるのではと考え設計した。



リフォーム物件のMas-houseはご夫妻の終の棲家。



おじいちゃんおばあちゃんの家としてお孫さん達には思い入れのある場所。改修前に有った背比べの傷を持つ柱は取り除かなければならなかったので、それをあえて切ってオブジェ的に活用。高さは継承しこれからも背比べを書き込めるようにした。



最後は昨年プレゼンし気に入ってもらえたこれから設計を煮詰める計画の内観スケッチ。もちろんこれが始まりの絵でどのようになるのかはこれからの煮詰めによる。



新築物件で、まちの歴史の継承、建物様式の継承、この二つを意識しながら、家族の歴史の始まりである空間を、新たなライフスタイルとの化学反応で作って行きたいと思っている。

今年もどんな仕事に巡り会い歴史のお手伝いができるか。

歴史を繋ぐ。町の歴史、建物の歴史、家族の歴史、継続している歴史もこれから始まろうとしている歴史も、ロングスパンで動いている歴史の一時。そんな歴史の一コマを担う仕事を今年もできれば良いなあと感じている平成29年の新春でした。(いと)

 
 
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