atelier shot 2005.4.5

  
 古い建物を、活用しながら次世代に継承していく事をすすめる「新潟まち遺産の会」という市民グループで活動している。あちこちで「古い建物には知恵や工夫というものがあってそれを次世代に継承していくことは大切なことだ」と声に出したりしているけれど、ほんと古い物には知恵や工夫というものだけでは無い「時を経てきた証」というものをも持ち備えている。建築を手がける者にとってそれを学ぶことが実は一番大切な事だとも思っている。一瞬にして無くなるものでは無い、時間の経過の影響をもっとも受ける建造物に関わる者は、できあがった時にある程度時間を経た姿を想像できていなければならない。そういった意味でも古い物を継承し学ぶ事は大きな意味がある。それだけではなく昔の物って今に比べてこだわりや洒落が多く、作り手の遊び心も沢山散りばめられていて、経済性だけではない豊かさを感じ見ていて楽しい。
 最近は世代交代によって古い建物が「寒い・暗い」といったことだけで解体されることがあるが、若い人々が「まず解体ありき」ではなく「まず活用ありき」という意識を持ってもらえるよう活動していきたいと思っている。
 写真は今取り組んでいる茅葺き民家再活用リフォーム物件の現状軸組模型。こちらは三世代同居の住宅なのだけれど、若夫婦が、できることなら活用して皆で住みたいと希望した物件。親父さんはもちろん自分のうまれ育った家だから活用には積極的で、若手が活用したいということをほんと喜んでいた。これから今のライフスタイルに合わせてリノベーションしていくのだけれど、まだまだ色んな事を解決しなくてはならず、簡単に済まないとは思っているが、彼らの思いを次の世代に伝えたい。こうして次の世代へ次の世代へと思いを継承できるような活動がこれからもできたらと思っている。もちろん新しい物も好きだけどね、温故知新というよりも温故創新かなどちらかというと。(いと)
 
 
一級建築士事務所 伊藤純一アトリエ TEL 025-228-2536 FAX 025-228-2537
(c)2002 JUNICHI ITO ATELIER All rights reserved.